「…これ……」 口の中でコロコロと踊る それは夏芽が大好きな ミルクティー味のキャンディーだった 「なかなかロマンチックでしょ?」 にこっと笑う夏芽 意識がぶっ飛んでて気付かなかったけど さっきキスしたときに 夏芽があたしの口に押し込んだみたいで そうはっきり分かった途端に ぼぼぼっと顔が熱くなった 「俺、馬鹿だからさ 未桜に告白することしか 考えてなくて ボタン全部なくしちゃった …ごめんね?」 耳元に口を近付けて 切なく言葉を絞る夏芽に あたしはふるふると 小さく首を振った