2*いざ、春の合宿へ


――…


「この前は、マジ姉貴が迷惑かけたな…本当にみんなサンキュー!」




オレは、この前あったファミレス事件で協力してくれた3人(藤条、英介、おまけの三田村)に深々と頭を下げた。





『まっ、いいってことよ!沙友里さんには、お礼にたくさんおごってもらったし!』




『あぁ、てか、さすが、松田の姉ちゃん…って感じでおもしろかった』




『確かに。…てか、沙友里さんには、これからもお世話になりそうだし(笑)』





上から、三田村、藤条、英介の順でそう答えた。





…てか、最後の英介の言葉ってどういう意味だ?





そう思って英介を見ると、何事もなかったような顔で藤条と話をしている。




…オレの思い過ごしか…?

『なぁなぁ!』



訝しげな顔で英介を見つめていたオレに、三田村が話し掛けてきた。




「なんだよ。」



少しイライラした口調で答えたオレに対し、





『知ってた?オレら、最近あの辺りで有名なんだぜ??やっぱり、ファミレス事件のおかげだよな!?オレなんか、あの辺りの駄菓子屋のおばちゃんに、タダでガムもらっちまったし!』



本当に嬉しそうな顔で答えた三田村。




…ホントにのんきなヤツだよ…おまえは…





…そう、三田村の言うとおり、オレらは、あのファミレス事件を境にちまたで有名になってしまったらしい…


なんでも、あの時、ファミレスにいらしたエキストラ様たちが、ご近所に話して回ったそうだ。



きっとエキストラの中には、噂好きの主婦が多かったとみえる。




『最近の若い人にしては、根性がある!!』





と、いった感じで、オレらの噂が瞬く間に町中に広がっていったのだ。