「で、どこに行きたいの?」
『ここから暫く道なりにお願いします』
「道なりに?」
『はい、途中でトンネルがあると思うから…そこで降ろして頂けると助かります』
「……。」
あたしの言葉を聞いた女は
何も言わず車を発進させる
『…どうして?』
「え?」
『どうしてあたしを乗せてくれたんですか?』
「貴方、ここの人間じゃないでしょ?…あたしは地元だからここの不便さを考えるとほっておけなくてね」
田舎の人間って
優しい人が多い
なんたって
あたし等の地元の人間は
こういう時見てみぬふり
そんな事を
考えながら
あたしは暫くの間
窓の外の景色を見つめていた..
『……。』
気のせいか?
車の走るスピードが
どんどん
どんどん
速くなって行く
そんな気がして
『あの…車の通りが少ないからって…ちょっと速くないですか?』
「……。」
女は無言
あたしは視線を
窓の外の景色から
慌てて車内に移す


