「ああ、知り合いだよ。江波萌チャン…口は悪いけど凄くいい子だから健太も仲良くするといい…あれ、萌チャン?」
意味が解らない
結城の声も
耳に入らず
あたしは慌てて
トイレへ向かう
『はぁ…はぁ…』
これがあたし?
ぱっちりした目
ぷるぷるした唇
髪は軽くセットされて
ウェーブがかっていて
『……。』
綺麗に化粧をした
鏡に映るあたしは
まるで別人のよう
『なんで…?』
あたしの中に
もう1人のあたしが存在する
このままじゃあたしが
あたしじゃなくなる..
あたしの目からは
涙が自然と溢れて
止まらない。
『…アンタはあたし』
あの女はあたしの体を乗っ取ろうとしてる
少しずつだけど
どんどん
どんどん
あたしの中に入って来てる
そんな気がする
「…萌チャン?」
結城?
トイレの外から心配そうに呼ぶ
結城の声が聞こえる。
突然飛び出したから
心配して追いかけて
来てくれたのかよ..
素直に嬉しいじゃねえか
「萌チャンどうしたの」
怖い
怖くてたまらない
でも今は泣いていられない
結城にあまり心配かけたくねえから
あたしは涙を拭きトイレから出る。


