基地に到着したぼくは、まず兵舎に案内された。

兵舎は基地内にあり、ぼくと同年代の兵隊が半数以上だと聞いた。

それはつまり、経験豊富な熟練兵が減っている証ではと頭をよぎったが、それ以上深く考えることは、自分にとって得ではないと思い、忘れることにした。



建物前には、ちょうど学校の運動場のように土の広場があり、そこの水道で4人の青年たちが顔を洗っていた。

「朝の訓練がひと段落した連中だ。あとで紹介する」

彼らに構わず兵舎の中に入る清水さんを追いかけながら、ぼくの視線は彼らにあった。

というのも、ぼくに背を向けている中のひとりに、どうも見覚えがある気がしてならなかったからだ。

けれど彼がこちらを振り向くことはなく、ぼくはそれが誰だかわからないまま兵舎の中へと入って行った。



建物の中はとても簡素な造りで、何もない廊下に、何の変哲もない扉が規則正しく並んでいるだけだった。

清水さんは、手前から3番目の扉を開けた。

そこが、新たにぼくが寝起きすることになる部屋だった。