俯いたままのきみの手を取って、そっと握らせた。 「ほら、これで機嫌直してくれよ」 きみは、黙ってカルミンを口に入れた。 「悪かったよ、きみの相手もせずに歩いたりして。少し緊張していたものだから」 「緊張って、どうして?」 やっと口を利いたきみは、今度はなぜか怒っているようだった。 「それは、その…つまり」 ぼくは唾を飲んだ。 そのとき、きみが突然、耳を塞いだ。 「聞きたくないっ」