スロウ・メロウ



「あおい、花壇の前」

「えっ?」


部活がない時、あの陸上バカはいつも花壇近くで自主トレしている。


「山代なら…多分あそこだ」


うん、とあおいは右手で拳を作る。きっと緊張してるんだろうな。


「大丈夫、だよね」


そう言ってフェンスに手を掛けたあおい。その横からひょいとのぼり上げて右手を差し出す。


「オラ」


汗ばんだ手も、見上げる形のあおいも……素直に愛しいと、思った。


ずっと掴んでいたい。
離したく……ねえのに。


変わりたく……ねえのに。