すれ違いざま、あまり物怖じしていなかった冬月が横目で黒い人を見る。 横から見て気付いたこと――最初にあった勘違いを知る。 微動だにしていないと思っていたが、体を揺さぶっていた。 震えではない、柳のようにゆるやかに、前後ろと――ああ、まるで、ゆりかごみたいに。 やっと分かったと冬月は前を向いた。 間違いなく人間、丸まり、唄を口ずさみ、こちらを一切見ないわけも。 「う……ろの……れぇ」 背後から聞こえた声が明るく、子を抱く母親らしく笑っているように思えた。