「さよなら」 音もなく消えた。アカバのいたところには一枚、紅葉がはらりと散っただけ。 静かにそれを拾い上げ、茜さんに渡すと顔をくしゃくしゃに歪めて泣き出した。 「ごめんなさい…止まらないの」 「どうしてかしら、なんだかひどく苦しくて、胸がつっかえて」 年かしら。しゃくりあげて懸命に笑う彼女の笑顔は綺麗だった。 「私も…同じで、苦しいです」 堪え切れず泣き出せば、慰めるように、もしくは呆れるようにいい匂いの風があたりに吹いた。