シロの声に、ぐしゃぐしゃの顔をあげる。 「…!」 白い鳥が羽を休める宿り木。 目の前の、幸(さち)の木が風を受けて葉を揺した。 そっと幹に触れる。心音のような鼓動もあの熱ももうないけれど、より一層サチが近くにきてくれたような気がして、おれは静かに目を閉じた。 今はすこし、眠るだけ。