冬の足音が聞え始め、長袖のセーラー服のみでは寒さを感じるこの頃。 「おはよう。…どうかしたの?」 「い、いや。なんかね…」 私の心はいつになく、温かくて穏やかであり、それと同時に少し穴が開いたように涼しかった。 「いきなり日常が戻ってきてさ。まぁ本業はこっちなんだけどね」 拍子抜け?ってやつ? 「また長い時間を学校で使いそうだなぁ~って…眠たいのにぃ」 勿論学校だって楽しいんだけど。あくびをひとつすると、神崎君は声を上げて笑った。 「知ってる?椎名さん」 「なにが?」