声が出ない私に代わって神崎くんが口を開く。 「…証拠は?」 「昨日、森にて会いました。本人は否定も肯定もしませんでしたが恐らく正解かと。 彼奴から、夥しいほどの邪気を感じましたゆえ」 嘘でしょう?どうして先生が。嘘だと言ってよ。 「本人は、なんて?」 「貴方がたと戦うと」 力を失った手から鞄が滑り落ちた。 「どうなさいますか?椎名様」 にやりと、口の端を持ち上げて笑う朱獅子をひどく嫌に思った。