実は、と口を開きかけると、 「ッ」 神崎君は左手を押さえて目を見張る。右手でぎりぎりと服の上から掴んでいる。…まるで何か、大きな力を押さえつけるようにして。 「か、神崎くん?」 もしかして、左手が痛むの? 何故だか、嫌な胸騒ぎがする。 「ま、待って、本当は火傷じゃないんじゃない?見せて!保健室行く?」 私が左手に触れようとした瞬間、 「っ、触るな!」 彼は、私が聞いたこともないような大声を張った。 教室の中の視線が私たちに突き刺さる。 「・・・ご、ごめん」