「まぁだそんなことを言っているのか? まっ、ウチの両親の結婚も、ヤツに推し進められたようなもんだしな」

マカの実父、マサキには恋人がいたのにも関わらず、血の近さからカノンとの結婚を推し進められた。

おかげで厄介な家系図となっていることに、マカは頭を痛めていた。

「マカも苦労するよね。まあ昔ながらの幹部の考えなんだろうけど。今じゃ、彼の考えに賛同する者も少ない。そこで裏切りという道に走ったとしても、不思議じゃないと思うけど?」

「だが相手はあのマノンだぞ? とてもじゃないが、あのジジィが取り引き相手に選ぶとは思えん」

何よりも血と掟を重んじるからこそ、異形のモノと化したマノンと取り引きするとは思えない。