雨に濡れたままの私達は無言のままだった。

 レイが私の腕をいきなり掴むと力一杯抱きついてきた。

「ならあなたは離婚してくれますか?

 明日にでも離婚してくれますか?」

 私はその言葉に何も返せないまま、ただレイに抱かれた。

 雨の中、2人抱きついたまま私は泣いてた。

 雨のせいにして泣いてた・・・。

「ごめんね。

 私と夫にはもう愛情なんてとっくにないけど離婚はまだ出来ない。

 こんな体じゃ私はまだ無理だから・・・。」

「そうですよね・・・。

 俺、もうあなたに会わない。

 俺、もう辛いの嫌だから・・・。

 あなたの事はもう忘れます。

 あなたは夫さんとがんばって下さい。

 あなたの事を好きだったのは本当だから・・・。

 でももう忘れます。

 俺、彼女出来たんすよ。

 同じバイトで知り合って。

 けど、まだあなたの事を好きって気持ちのままで・・・。

 でも今日で終わりにします。」

 私は何も言わずにうなずいた。

 そうするしかなかった・・・。

 私とレイはあっけなくジ・エンド。

 クリスマスになって、近くに設置されてるイルミネーションを見に1人で出掛けた。

 周りはカップルだらけ。

 なんだか凄く場違いな雰囲気だった。

 青いネオンにキラキラライトアップされた木々が幻想的だった。

「あっ・・・、レイだ。」

 レイの隣には、この間海で見た女の子が寄り添ってた。

 この子がレイの彼女なんだ・・・。

 こんな寒い日にミニの生足姿の女の子の若さに目眩がした。

 どこから見てもお似合いだよね・・・。

 私の横をレイと女の子が追い越してった。

 レイは私にきずいてたけど・・・。

 知らん顔して通りすぎていった・・・。

 小さな町だから必ずまたどこかで偶然会うかもしれない・・・。

 もう、2度と戻らないあの日々・・・。

 楽しそうにはしゃぐ女の子が羨ましかった。

 私はしばらく1人でイルミネーションを見てた。

 そして、寒そうに凍って見える星の煌めきになんだか嬉しくなった。

 何故だかわからないけど・・・。

 私は振り返るとレイの姿はもうどこにもなかった。

 バイバイ・・・

 good-bye・・・