白紙と聞いてホッとしている自分がいる。



「でも……」



「え?」



「わたくしは、本気でしたのよ。ほら、あの方容姿端麗でしょう? だから、ひと目見たときから――」



そこで言葉を切る桜子。



頬を赤く染め、教科書に視線を落とす。



その横顔は、まさに恋する乙女だった――。