あの頃、たったひとつの小さなチョコで、世界は簡単に色を変えていた。 初めてのメールも、電話も、帰り道も。 初めて繋いだ手のひらも、触れた唇も、重ねた体も。 全てが、あたしの世界の色を変えてくれていた。 幸せで、温かくて、優しい色に変えてくれていた。 いつからだろう。 何も、変わらなくなったのは。 少しずつ、色をなくしていったのは。 いつからだろう。 枯れるほど泣いてもまだ溢れていた涙が、本当に、枯れてしまったのは。 いつからだろう。