「あ、雪」 ふわっと、あたしとタケルの間に、白い空気が舞った。 最初はふわっと、ほんとに一粒だったけど。 すぐにそれは、群をなしているかのように自由気ままに沢山舞い始めた。 「通りで寒いと思った」 タケルはそう言って、少し嬉しそうに空を見上げた。 その表情はまるではしゃいでいる子どもで、あたしは少しだけほっと息をつく。 かわいいなあ。好きだなあ。 大好きだなあ。 「あたし、タケル君のこと、好きだよ」