「莉々。こっちこっち」 友人たちが、卒業証書を片手に手を振っている。 まっすぐに伸びているのは未来へと続く道。 「卒業おめでとう、あたし」 そう自分に言って、校舎に向かって礼をして歩き出す。 向くべきところは後ろじゃない。前だ。 目指すべき未来はそっちにある。 強がりじゃなく、そう思う。 あたしは、いつかちゃんと大人になるんだ。 溢れだしそうな涙をぐっとこらえて顔をあげた時、小さな雪が頬に触れて溶けた。 【fin】