華〜ハナ〜Ⅲ【完結】





***




「僕は、少しの間旅行に行ってくるね。」


「にいちゃん……」



兄と彼女が出会ってからしばらくもしないうちに、どうしてそうなったのか、兄は一人で何日か旅行してくるね、と言って行ってしまった。


両親も何も言わないし、詳しい説明なんてものはなにも聞いていない。


まあ、聞いたところで幼い俺には理解できなかったと思うけれど。




兄が行ってしまったのは夜のことで、俺はそのまま、久しぶりに一人で眠った。