次の瞬間には兄貴は消えて、柔らかな暖かい体温に包まれていた。 長い黒髪をうっとおしそうに払うこの女は、母親。 俺とよく似た切れ長の目を持っていた。 その隣には父親が笑っていて、俺たち3人を包む空気は暖かかい。 暖かい両親に、優しい兄。 俺が笑えば顔をほころばせる彼ら。 赤ん坊の俺は溢れんばかりの愛に包まれていた。