帰らないと。 あの人には悪いけど わたし、こんなところでずっと泣いてちゃいけない。 携帯を見ると 家族からの着信が入っている。 帰らないと・・・・。 心配かけちゃう。 もう十分泣いた。 笑える。 なにもなかったかのように振舞える。 かけてもらったジャンパーだけど、 脱いで、たたんで 座っていたベンチに置いた。 「ありがとう・・・・。」 ごめんなさい。 名前も知らない、雪の中の王子様。 さようなら・・・。