『…大丈夫だよ。あたしは透のこと,嫌いになんか…ならないから』 あたしは自分に言い聞かせるように 『大丈夫,大丈夫』 と何度も呟く。 途端に空気が軽くなった気がした。 『…ごめんね。俺,世憂姉が歌手に向かって【格好いい】なんて言うからさ。嫉妬しちゃった』 にこりと効果音をつけて舌を出す透。 先程の恐怖は徐々に薄れていった。 『(多分,記憶がなくて頭が疲れてたんだ。)』 あたしは気のせいということにして,透に微笑みかえした。 ――――― ここで私の意識は突然 途切れた…