『…はぁっ…はぁっ…!』 ちょうどあの猫がいた登り坂に差し掛かったあたりで透は息を乱し始めた。 決して軽くないあたしを抱き抱えて走っているのだ。 いくら体力があろうとキツいはず。 『透。あたし,降りて走るよ?』 気を遣っておずおずと言うが 『…駄目。世憂姉体力ないから。』 あたしの意見はバッサリと切り捨てられてしまった。 『だって透もキツいでしょう?あたしも家までくらい,走れるよ』 もう一度ダメ元で言うと 『…無理はしないでね。』 丁寧に降ろされた。