『世憂姉ごめん。許して』 一言。 ポツリ、独り言のように透が呟くと自分の通学鞄を廊下に放り投げ,元来た道へ走りだした。 『え?え?』 あたしは訳もわからずただされるがまま振り落とされないように首に回す腕に力を入れる。 『…ごめん、…ごめん…。』 走っている間にも謝り続ける透はワックスで無造作に固めた白金の髪を揺らす。 あたしは何に謝っているのかわからないから探るように透の瞳を見つめていた。