密会は婚約指輪を外したあとで


マンションに着き、玄関先に現れたのはTシャツにジーンズ姿の拓馬一人だった。


「あんた……、前より老けた?」


開口一番に、拓馬はかなり失礼な言葉をぶつけてくる。

痩せた?とかならまだ褒め言葉の範疇なのに。老けただなんて、ひどすぎる。

せっかく大人っぽくしてきたのが台無しだ。


「あの、ハルくんは?」


失礼な拓馬の問いかけを無視し、不機嫌な顔を隠さずに訊くと、拓馬は淡々と答えた。


「ハルなら、さっき出かけた。夜には帰ってくるって言ってたけど」

「そんな……。私、ハルくんと1時に約束してたのに」

まさか約束を忘れているのだろうか。


「急用ができたらしい。だから今日は、俺が代わりに相手をしろってさ」

面倒くさそうに拓馬は前髪をかき上げる。