頼りなく歩道を照らす街灯の下、無言でうつむいたまま歩く私へ、ハルくんがそっと声をかける。
「そんなに好きなら、あきらめることもないんじゃない?」
「……え?」
「拓兄の好きな相手は既婚者だよ。そのうち拓兄かあの女か、どちらかの気持ちが冷める可能性もあるでしょ」
報われないこの恋は、終わったと見せかけて、まだ始まったばかりということ?
望みは薄いけれど。気づいたばかりの淡い想いを、もう少しだけ胸に閉じ込めておくことにした。
◇
私の住むアパートの前に着き、送ってくれたことにお礼を言うと
「今度の土曜日、うちに来てくれる? 気晴らしにどこか行こうよ」
ハルくんは屈託ない笑顔で提案した。
「気晴らし……?」
「僕とじゃ不満?」
「そんなことない」
寂しそうな目を向けられて、私は慌てて首を振る。
「じゃあ、可愛い格好してきてね。楽しみにしてるから」



