密会は婚約指輪を外したあとで

「今夜逢う相手が人妻とは、まだ決まったわけじゃない……よね」

「まあね。男友達と飲みに行くときはもっとラフな格好のことが多いんだ。けど、今日は違ったからその可能性は高いよ」


着替え終えた彼は確かに、例えば高級レストランでも浮かない服装をしていた気がする。

涼しい風に髪をなびかせたハルくんは、隣を歩く私との距離を縮めてきた。


「それより……こうしてた方が、僕たちだって気づかれないと思わない?」


突然、恋人同士のように繋がれた手。

ハルくんの手のひらは、ほんのり温かく柔らかくて。

ドキドキしないこともないけれど、安心すると言った方がより正しかった。