密会は婚約指輪を外したあとで


ハルくんのついたタチの悪い嘘、という衝撃の事実に呆然としながらも、一花ちゃんの保育園までの道のりを教えてもらったあと。

拓馬は本当にランチを奢ってくれて、私は財布を出さずにお店を後にすることになった。

意外と親切なのか、車で送ってやると言われ、ショッピングモールの出口まで来たとき。

拓馬がふと、何かを見つけ立ち止まった。

視線の先には、誰かを待っている様子の女の人がいる。


地毛なのか染めているのか判別がつかない、焦げ茶色の髪。

癖毛の私には羨ましい、真っ直ぐで滑らかな髪が背中に流れている。

化粧は薄くナチュラルな雰囲気で、白っぽいコットン素材のワンピースを着ていた。


(なぎさ)? 元気ないな、どうした?」

「──あ、拓馬」


声を掛けられた女の人は顔を上げ、無理に笑顔を作る。

拓馬が女の人の名前を親しげに呼び捨てしていたことに、チクリと胸が痛む。