「冗談だったのなら、安心しました……」
こんな意地の悪い人に一目惚れなんかをしたのが、悔しくてたまらない。
私は気を取り直し、末っ子の可愛いハルくんのことを思い浮かべた。
「そうだ。明日のために、夕食の材料を買って帰ります。私、ハルくんにハンバーグを作ってあげる約束したので」
「いいって、わざわざそんなことまでしなくて」
意外なことに、彼は遠慮してきた。彼のことだから「作れ」とか命令してきそうなものなのに。
「でも、約束だから。私、ハルくんから、お母さんの顔に似てるって言われたの。中学のときにお母さんを事故で亡くしたんでしょ? だから少しでも、お母さんの代わりになれたらいいなって」



