密会は婚約指輪を外したあとで

「そろそろ兄貴が帰ってくる頃だよ。それまで居るでしょ。何だったら一緒にカレー食べていけば?」


ハルくんはそう提案してくれる。


「うん……、そうだね」


後片付けをして、エプロンを外したとき。
ちょうど玄関の方でドアの開閉される音が聞こえた。


「あ、帰ってきたみたいだね」


リビングの扉を開け、ハルくんと廊下に出ると。

トタトタ、と小さな足音が駆けてくる音がした。

その音はハルくんが出入りしていた一番奥の部屋からで──


「パパ、おかえりー」


3歳くらいの小さな女の子が私の腰元を通り過ぎ、一馬さんに駆け寄っていく。


「……ただい、ま」

「いい匂いがしたから、お腹が空いて目が覚めちゃった」


満面の笑顔の女の子に抱きつかれ、靴を脱いでいた一馬さんの顔が引きつった。