密会は婚約指輪を外したあとで

一馬さんには彼女がいないはず。いるなら、私を利用しなくてもいいわけだし。

そう解釈して、私はキッチンへ戻った。


「なゆさん、兄貴といつ籍入れるの?」


食器棚から洋皿を取り出していると、ハルくんが後ろから声を掛けてきた。


「それは……まだ決まってなくて」

しどろもどろになりながら私は答える。


「兄貴、なゆさんのこと褒めてたよ。素直な子だから、いい奥さんになりそうって」

「そう、かな。そうだといいな」


私の笑顔はたぶん、引きつっているに違いない。

私と一馬さんを祝福してくれているハルくんを騙していることに、罪悪感を覚え始める。