密会は婚約指輪を外したあとで

「じゃあ、今度ハンバーグ作ってよ」


どんな難題を出されるか内心ドキドキしていたのに、拍子抜けするほど簡単な、可愛いお願い。


「そんなことでいいの?」

「うん、兄貴たちにリクエストしても、滅多に作ってくれないんだ。冷凍餃子やレトルトのカレーが多いし……」


一瞬寂しげな瞳をしたあと、

「絶対作りに来てね。約束だよ」

真剣な顔つきをしたハルくんは、細い小指を私の小指に絡めて指切りをしてきた。


ということは、まだこの家に通わなければいけないわけで。
私は一体いつまで婚約者のフリを続けなければいけないんだろう。


本当にこのまま一馬さんのお嫁さんになってしまったりして。

そうしたら、ハルくんは義理の弟に……?