私の肩口に顔をうずめてきたハルくんは、近くで見てもきめ細かな肌。

メープルシロップみたいな明るい髪は艶やかで、触るとシフォンケーキのように柔らかそう。


──ってそんなことより。
私、なぜかハルくんに抱きしめられてる?


「ど、どうしたの? 具合でも悪いの?」


心配になって尋ねてみると、ハルくんは顔をうずめたまま、くぐもった声を出した。


「なゆさん……何か、懐かしい香りがする」

「え……?」

「そうやってキッチンに立っている姿を見ると、母さんのことを思い出すんだ」


ハルくんの声は切ない声色に変わっていき、泣いているのでは?と勘ぐってしまうほどだった。