「ありがとう」

キッチンの後ろのスペースは狭くて、ハルくんの体が触れそうなほど近い。


「ハルくん、高校何年生?」

お米を計量カップではかりながら、私は意識をそらそうと適当に話題を振った。


「2年だよ。もうすぐ17」

「17歳かぁ。私とは……6つ違いだね」


6歳も年上の女なんて、当然ハルくんにとっては恋愛の対象外なんだろうな。


「年は関係ないんじゃない? 僕、年上の女の人好きだよ」


まるで私の心を読んだように、あまりにもさらっと言うので、どんな返しをしていいか困った。


「──なゆさんって」


ふと、ハルくんが私を見下ろして小首を傾げた。


「何?」


手を止めて聞き返したとき。

急にハルくんの腕が背中に回り、私の体の前半分が、彼の制服に押しつけられていた。