密会は婚約指輪を外したあとで


本当は違うの、婚約者のフリをしているだけなの!!

と叫びたいのに、一馬さんと約束した手前、バラすわけにもいかない。



ふと、背後に人の気配があり、何気なく顔をそちらへ向けると。

拓馬さんがソファの背もたれに手を置いて立っていた。

私の顔を覗き込むようにして、何やら観察している……?


強い視線に耐え切れず、私は顔を正面に戻してうつむいた。

同じ空間にいるというだけでも緊張して、手のひらが汗ばんでくる。


それなのに、その夜空を思わせる漆黒の瞳でじっと見つめられるなんて……。