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 私の薬指には、婚約指輪が光っている。

 当然、偽物ではなく。
 本物のダイヤがはめ込まれた、プラチナの指輪。


 秋晴れの今日は、私と彼の結婚式。

 ここに辿り着くまでに、とてつもない時間と労力がかかったけれど。
 こうして無事に、本番の日を迎えることができた。


拓馬と付き合い始めてから、数年が過ぎ。籍を入れた私たちは、マンションでふたり暮らしをしている。

私は近くの幼稚園で、保育補助として働いていた。


来春、一花ちゃんに兄弟ができるそう。

それから、同じ時期に渚さんと龍之介さんの子どもも産まれる予定らしい。


「なゆお姉ちゃん、結婚おめでとう」

「ありがとう、一花ちゃん」


あの幼かった一花ちゃんに祝われ、なんだか泣きそうになった。

花びらを重ねたような、薄いピンクのミニドレスを着ていて、とても似合っている。天使か妖精みたいだった。

拓馬と結婚したから、私にとって一花ちゃんは姪っ子ということになる。彼女と親族になり、私の家族はさらに増えたから、本当に嬉しい。


出会ったばかりの頃は、まさかこんな繋がりが持てるとは思わなかった。

今では一馬さんは義理の兄だし、ハルくんは義理の弟だ。


拓馬たちのお母さんに初めて挨拶に行ったとき、「息子たちをよろしくお願いします」と頭を下げられてしまった。

想像より、若くて綺麗なお母さんだった。

再婚して他に家族があるからと、結婚式に出席するのは遠慮されたけれど。きっとどこかで見てくれている気がする。