密会は婚約指輪を外したあとで

「皆でご飯を食べに行くの?」

「そう。一花の4歳の誕生パーティなんだって」


ハルくんはミルク入りのアイスコーヒーを飲み干しながらゆっくりと答えた。


「もし時間あるなら、なゆさんも来る?」

「え? 私もいいの?」

「一馬兄さんが、なゆさんも誘っておいてって言ってたよ」

「……じゃあ、参加させてもらおうかな」


本当なら、拓馬が見つからないのに誕生会をする気分ではないところ。

でも、気を紛らすためにも誘いを受けることにした。拓馬の姪っ子の誕生日は特別だから。


「良かった。なゆさんも来てくれたら、一花も喜ぶと思う。拓馬兄さんは仕事で来られないことになってるんだ。一花には安否不明のことまでは知らせてない」

「……そっか」


せっかくの誕生日、まだ小さな一花ちゃんには笑っていて欲しい。

けれどその一方で、自分は一花ちゃんの誕生会なのに、皆の前でうまく笑えるか心配になってきた。