◇
放っておいたらマイナス思考に陥り続ける私を引き上げてくれたのは、ハルくんだった。
午後4時ちょうど。
待ち合わせ場所である、住宅街にひっそりと建つカフェの前で時間を確かめる。
重い木の扉を押すと、奥の窓際の席に見知った横顔を見つけた。
私が入ってきたことに気づいたハルくんが、微かに笑顔を見せる。
他にお客さんの姿はない。
ハルくんが右隣にあるクラシカルなデザインの椅子を引いてくれ、私はそっとそこに腰を下ろす。
ケーキセットを二つ頼んだあと、私は彼のことをこっそりと眺めた。
久しぶりに会ったハルくんの髪は、メープルシロップのような明るめブラウンから、黒に近い自然な色に染め直されていた。
黒っぽい髪の方が大人びて見え、どことなく色気が増している気がする。
いつかのように顔の痣などは一切なく、綺麗な、滑らかな肌をしていた。
「なゆさん、目の下にクマがくっきりとできてるよ」
「え……、ウソ」
ハルくんの指摘に、私は慌てて目の下を拭ってみた。
……擦っても取れるわけではないのに。
「嘘だよ。くっきりとって言うほどじゃなくて、ほんの少しだけ。
なゆさんは本当に、拓馬兄さんのことが好きなんだね」
ハルくんはテーブルに軽く頬杖を突き、私のことを目を細めて見つめてくる。
放っておいたらマイナス思考に陥り続ける私を引き上げてくれたのは、ハルくんだった。
午後4時ちょうど。
待ち合わせ場所である、住宅街にひっそりと建つカフェの前で時間を確かめる。
重い木の扉を押すと、奥の窓際の席に見知った横顔を見つけた。
私が入ってきたことに気づいたハルくんが、微かに笑顔を見せる。
他にお客さんの姿はない。
ハルくんが右隣にあるクラシカルなデザインの椅子を引いてくれ、私はそっとそこに腰を下ろす。
ケーキセットを二つ頼んだあと、私は彼のことをこっそりと眺めた。
久しぶりに会ったハルくんの髪は、メープルシロップのような明るめブラウンから、黒に近い自然な色に染め直されていた。
黒っぽい髪の方が大人びて見え、どことなく色気が増している気がする。
いつかのように顔の痣などは一切なく、綺麗な、滑らかな肌をしていた。
「なゆさん、目の下にクマがくっきりとできてるよ」
「え……、ウソ」
ハルくんの指摘に、私は慌てて目の下を拭ってみた。
……擦っても取れるわけではないのに。
「嘘だよ。くっきりとって言うほどじゃなくて、ほんの少しだけ。
なゆさんは本当に、拓馬兄さんのことが好きなんだね」
ハルくんはテーブルに軽く頬杖を突き、私のことを目を細めて見つめてくる。



