当の龍之介さんは「面白いものが見れた」と満足げだ。
積年の恨みを果たしたと、富士山の登頂に成功したかのような清々しい表情をしている。
そうとう、ネチネチした性格らしい。
どうでもいいけど、拓馬と龍之介さんの醜い争いに、私まで巻き込まないで欲しい。
「行こう、奈雪」
怒りの表情を残したままの拓馬は、私の手首に触れ、それからしっかりと手を繋ぎ直し歩き出した。
二人の様子が気になり振り返れば、腕を組み厳しく叱る渚さんと、うなだれる龍之介さんの姿が。
しばらく歩き、もう一度振り返ったときには、二人は固く抱き合っていたので、その仲直りの早さに開いた口が塞がらなかった。
どこか変わった二人だけど、お似合いなのかもしれない。
どんなに激しい喧嘩をしても、また元に戻れる。
そんな二人の強い結びつきに、ある意味羨ましさを覚えた。



