拓馬は私の疑問に対して、緩く首を横に振った。
「あれは龍之介さんに見せつけるための芝居だった。けど、さっき渚を抱きしめて再確認したよ。昔とは違う、今は何とも思ってないって」
本当、に……?
切ない瞳をした拓馬は、不安に押し潰されそうになる私のことをそっと抱きしめてきた。
「こんな風に抱きしめて、心臓壊れそうになるのは……奈雪一人だけだ」
背中に回された手が温かい。
胸元に耳を置くと、速い鼓動が聞こえてくる。
「……演技でも嫌。拓馬が女の人に触れて、優しくしてる姿は見たくない」
無意識のうちに本音が零れていた。
「悪かった。もうしない。──約束する」
真っ直ぐに瞳を見返してくる拓馬。
これは、演技ではないと思っていいの?
「今まで済まなかったな、拓馬。疑惑が晴れてすっきりしたよ。目が覚めて、渚との関係もより深まった」
渚さんと仲直りをしたのか、にこやかに近づいてくる龍之介さん。
拓馬は私から体を離し、二人を振り返った。



