私はこれから、彼と同居している人に紹介されるらしい。


廊下の奥の重厚な扉を開け、「ただいま」と言いながら一馬さんが玄関へ入っていく。

すると「おかえり」と柔らかな声が響き、華奢な男の子が出迎えてくれた。


「なゆちゃん、俺の一番下の弟でハル。高校生なんだ」


一馬さんが振り返り、私へ紹介してくれる。

その男の子──弟さんは私の目を見て愛想よく微笑んでくれた。


「初めまして、春馬(はるま)といいます」

「……深瀬奈雪です」


初めまして、と言うわりにはどこかで見たことがあるような。