密会は婚約指輪を外したあとで


「今度こそ、家族みんなが幸せになれるよう、努力してみるよ」

「はい。幸せになってください。私もそう願っています」


強い願いを込めて、私は一馬さんの瞳を見つめた。


一度できた溝は、簡単には埋まらないのかもしれない。

でも、少しでもその溝を縮めていけたら、もう一度幸せが見えてくる気がする。


「なゆちゃん。婚約……いや、契約を解消しよう」


真剣な目でそう言った一馬さんは、私に向かって片手を差し出した。


やっと、解放される──。


婚約指輪を外し、一馬さんに返す。

彼は指輪を受け取り、シャツの胸ポケットにしまった。