一馬さんに連れられ辿り着いた場所は、飲み屋街の中心にある、いかにもデートという雰囲気のする屋上観覧車だった。
水色から紫へ変わっていくネオンに見惚れているうちに、一馬さんはチケットを買い、私の手を引きスタッフの誘導でゴンドラの中へ入る。
4人ほど乗れそうなスペースがあり、私たちは向かい合わせで座った。
7階ほどのビルの上にあるので、観覧車の一番下方でもすでに相当高く感じる。道路を走る車が米粒のよう。
緩やかに動き出し、しだいに窓の外は全てオレンジ色が溢れる夜景と藍色の空だけになった。
「今までずっと、利用していてごめん」
しばらく夜景を堪能したあと、一馬さんが口を開いた。
「……私も、今までもらったお金、お返しします」
バッグに入れていた封筒を一馬さんに差し出す。
けれど彼は受け取らず、無理やり私のバッグに押し込んでしまった。
「それは一花の面倒を見てくれていたお礼だから」



