密会は婚約指輪を外したあとで


そういえば、ハルくんに彼女はいるのだろうか。

彼女でないにしても、同じクラスに好きな子がいたりして。

高校生活を満喫していそうなタイプなのに、こんな風に怪我をして帰ってくるし、そうでもないのかな。

学校でいじめられていないかどうか、本当に気がかりだ。


「ハルくん、お腹空いてない?」

「ん……朝から何も食べてないよ」


平然とハルくんは言い、エンジ色の細いネクタイを緩めた。

雨が降っているせいで分かりづらいけれど、もう夕方の時刻だ。


「成長期なのにそれは駄目だよ、早く何か食べないと!」


私は傷の手当てを切り上げ、本日栄養未摂取のハルくんのためにキッチンへ急ぐ。

冷蔵庫の中身を確認すると、オムライスなら作れそうな雰囲気だった。


「オムライスは食べられる?」

「うん。普通に好き」


ハルくんの許可を得て、私は早速オムライス作りに取りかかった。

チキンライスには野菜のみじん切りをたっぷり入れておこう。

私が玉葱や人参を刻んでいたとき、ハルくんがちょうどこちらを見ていて、カウンター越しに目が合った。


「ねえ。このシャツ、脱いでもいい?」


ソファの上のハルくんは、濡れた白いシャツが気持ち悪いらしく、一番上のボタンに指をかけている。