「イトコ……。親戚の人の家なら、とりあえず安心だね」

「別に、心配してもらわなくても大丈夫だから」


素っ気なくハルくんは言い、また無表情に戻る。

細いながらも、ほどよく筋肉のついた硬い腕に包帯を巻きつけ、私はちらっとハルくんの横顔を盗み見た。


くるんと上を向いた長い睫毛と、きめ細やかな白い肌。

ハルくんは弟みたいなものだから、それほど緊張せず肌に触れることができていた。


これが拓馬だったら……たぶん赤面して、動揺のあまり傷の手当てどころではないに違いない。

ハルくんも、私がまるで保健室の先生であるかのように気にも留めていない様子。


タオルドライしたときに気づいたのだけれど……彼の耳にはシルバーのピアスがいくつか開けられている。

普段は長めの髪に隠れていて目立たないせいか、もしくはたまにしか付けていないのか。ピアスの存在に気がつかなかった。

今の彼を見ていると、ピアスはファッションというより、反抗。

ピアスの数は寂しさの数と受け取ってしまいそう。