密会は婚約指輪を外したあとで

アルコールの味がする濡れたキスに、体中が痺れていく。

最初は気持ちを探り合うように軽く。

二度目は、隠していた想いを伝え合うように、深く切なく。


「兄貴とはもう、二人きりでは会うなよ」


彼のくちびるから、本音とも取れる想いが零れる。


──それなら拓馬も、渚さんとは二人きりで逢わないで。


心の声が聞こえたのか、彼は私を抱き寄せ、優しく髪を撫でてきた。


「渚との関係は、きっちり終わらせるから。それまで待ってて欲しい」


妻子ある男が不倫しているときと酷似した台詞に、私は急に冷めた気分になる。

強い嫉妬が襲い、胃の辺りに不快感が集まってくる。


「渚さんのことがまだ好きなら、私は別にいいです」


拗ねた言い方をして、私は彼の腕をほどいた。


「二股なんかしてないって」

「……嘘」


男の人は、そうやって平気で嘘をつく。

どうしたら真実を見極められるのか。
何を信じたらいいのか全くわからない。

彼の心の中を覗くことができたら、全て解決するはずなのに。

2番目でもいいからそばにいたいと思うのは、心が弱いせいなのだろうか。