密会は婚約指輪を外したあとで

『俺も話がある。明後日、迎えに行く』


短い文だったけれど、断りの返事ではないことにひとまず安堵する。

そして彼の方も何か“話がある”という言葉にドキリとさせられた。

期待させるような言い回しは、できればやめて欲しい。

自意識過剰な勘違いだったときのショックが、大きすぎるから。





拓馬との約束の日まで、私は自分磨きに励むことにした。

普段は行かないネイルサロンへ行き、翔さんの美容室にまで足を運んだ。



自室の姿見の前に立ち、おかしな所がないか確認する。

服装はファッション雑誌に載っていたデート用のコーデを真似て、半袖の白いニットにボルドーのプリーツスカートを合わせてみた。

メイクはキツくなりすぎないよう、ナチュラルに。

癖のある髪は翔さんがストレートにブローしてくれて、肩にサラサラと流れている。




インターホンが鳴り、拓馬が迎えに来てくれたようだ。

人生初めての告白をすることを考えると、緊張しすぎて倒れそう。

ドアを開け、背の高い拓馬と目が合った途端、思いきり目をそらしてしまった。