大勢の人が行き交う地下通路。

カメラの前でニュースを読み上げている様子の長身の男性に、目が釘付けになる。

真剣な表情でリポートをしているのは、スーツ姿の拓馬だった。


か……かっこいい。

やっぱり見た目だけはいいみたい。
あくまで、見た目だけ。


本来の姿は別で、モデルみたいに素敵な容姿の中に、毒を隠している。

TV越しではなく、目の前で仕事をしている彼を見るのは初めてで。これはレアな状況かもしれない。


しばらく呆けていた私は、じっと一馬さんがこちらを見ていることに気づき我に返った。


「あっ、すみません。それで、この袋は一体どうしたんですか?」


撮影を一旦終えた拓馬は、何となく私たちの存在に気づいたみたいだった。

けれど今は仕事中。こちらに近づいて来ることは当然なく、スタッフと話をしている。


「やっぱり……、目の前の俺より気になる奴がいるんだね」


伏し目がちに一馬さんがつぶやく。