「拓馬おじたん、いなくなっちゃった……。パパたち、まだかなぁ」
ニュースが終わったのでTVを消し、食器を片付け、リビングで一花ちゃんとおままごとをしていても、まだ誰も帰ってくる気配がない。
「遅いね、もう少し待ってたら帰ってくるかな?」
本当に、誰でもいいから早く帰ってきてほしい。
まだ一花ちゃんはお風呂にも入っていないし、歯磨きもしなくてはいけない。パジャマもどこにあるのか知らない。
姉の子どもの面倒を見たことがあるとはいえ、さすがに一日中お世話したことはなく、不慣れな私では役に立てなかった。
私に保育士の資格でもあれば良かったのに。
──それにしても。ハルくんはどうしたのだろう。高校生ならもっと早く帰ってきてもいいはず。
「ねえ、一花ちゃん。ハルくんどこに行ったか知ってる? こんなに遅くなることある?」
「んー?」
3歳児には難しい質問だったようで、一花ちゃんはただ小首をかしげるばかり。
部活はたまにしか出ていないと聞いていたし、たぶん友達と時間を忘れて遊んでいるのだと予想する。
非常事態のときのためにハルくんの連絡先も聞いておけば良かった。
とりあえず、洗面台で子ども用の歯ブラシを見つけ出し、歯磨きとトイレを済ませた。
「なゆお姉ちゃん、ここで一緒に寝ようよ」
一花ちゃんは広々としたソファをトントンと叩く。
「そうだね、ソファでゴロンして、パパが帰ってくるの待ってようか」
彼女の提案に乗り、私は添い寝をする形でソファに横になる。
あくびを始めた一花ちゃんは本格的に眠くなってきたようだ。



